鳥取県出身ですが、砂丘には行ったことないです。





私が住んでいる地域は長野県佐久市の中でも新しい家が多く、児童館などに行くと「お子さん何歳?」の次くらいに「もともとここの人?」と尋ねられる。「去年の3月に引っ越して来たんです」と答えると夫の実家に嫁入りしたと思われることが多いのだが、夫の実家は青森県で長野に親戚は全くおらず、ここでの回答は「夫の仕事の都合で」となる。

「へえ〜、じゃあ出身はどちらなの?」と訊かれて「と、とっとりです…」と少し小さな声になってしまうのは、その後かなりの確率で「えっ!鳥取!?」と驚かれることがわかっているからである。

この驚きの中身は何であろうか。

「えっ!?鳥取に人って住んでるの!?」という驚きだろうか。47都道府県中最も人口が少なく杉並区とほぼ同程度だが、妖怪ゆるキャラに紛れてきちんと人間も生息していることぐらいは皆さんご存知だろうと信じたい。

ならば、「えっ!?鳥取から長野って来られるの!?ラクダで何日かかるの!?」という驚きだろうか。確かに鳥取県には新幹線が走っていないどころか、ディーゼル車がメインで電車すら珍しい状態だ。単線が多く、すれ違うために十数分待つこともある。こんな状況からか、東京から陸路で1番時間がかかるのは鳥取だという話も聞いたことがあるので、これはあながち的外れとは言えない。しかし安心してほしい。鳥取には米子鬼太郎空港という立派な2階建ての空港がある。東京を経由して長野に来ることが可能だ。金はないが時間はある、という方は夜行バスの「キャメル号」を使えば10時間で東京に行く事ができる。もしかしたらこれをラクダと間違えたのかもしれない。

他にあるとすれば、「えっ!?鳥取って糸電話でしょ!?県外の情報ってわかるの!?」という驚きも考えられる。確かにソフトバンク社のCMで誤解を生む表現はあったが、さらにそれを逆手に取った鳥取砂丘応援団なる人達が「本当に糸電話は砂丘において有効な通信手段なのか」を検証する実験を行っちゃったりしてるが、光ファイバー実家まで来るって噂だったのに結局来なかったが、大丈夫。情報はね、ちゃんと来てるよ。民放は3局しか映んないし深夜アニメも壊滅的だけど、だいたいのことはわかるんだよ。

まあ、「どんな経緯で?」という疑問が湧いたと思うのが妥当だろう。大学の進学に伴い埼玉に引っ越した私は、そのまま東京で仕事をし、職場で夫と出会って結婚。で、夫の仕事の都合で長野県佐久市に引っ越し、という流れだ。

しかし、ここで付け加えさせていただくと、私の父はしばらく転勤が多い仕事をしていたため、実家には高校の3年間しか住んでいない。生まれたのは母の実家がある島根県で、その後因島、尾道市、三次市、福山市と広島県内をウロウロし、中学2年でやっと鳥取県倉吉市に引っ越したがこれは実家ではなく社宅で、高校入学と同時に鳥取県米子市の実家に引っ越したのである。

そのため、「トットリ」と聞くと、日本人は反射的に「サキュウ」という言葉を発することは、物心がつくとともに私の脳に刷り込まれていった。そしてここでも私は小声で答える。「砂丘には行ったことないです」と。だって実家から片道2時間半&2000円かかるんですよ。

サイトを作る際、勢いで本名.comのドメインを取得してしまったが、そのまま本名をサイト名にするのは恥ずかしかった。名前や年齢や出身地を除いて自己紹介で1番口にしてきた台詞こそ、皆が私について1番知りたがっている情報なのであろうと思い、咄嗟にサイトの名前にしてしまったのである。


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