はじめてのこい 〜こいは血の色〜
(行きがかり上、シグルイのそんなに重要でもないシーンのネタバレが含まれますので、気になる方はご注意ください)
佐久と鯉と私
日本一海から遠い佐久地域。18世紀末に櫻井地域の呉服商・臼田丹右衛門が大阪淀川から「淀鯉」を持ち帰り、養殖が始まったそうです。
で、豊かな水と冬寒く夏暑いという気候が鯉の養殖にぴったりんこだったらしく、それ以降鯉は佐久の特産品になったとのこと。
そんな鯉、佐久のスーパーマーケットではこんな感じで売っています。
どどーん。血まみれ。
血がついたまま料理した方が美味しいから、と聞いたことがあります。
以前、三河屋さんで鯉丼(揚げた鯉を和風ダレにくぐらせ、ご飯にのせた丼。クセがなく、サクサクで美味しい)は食べたことがあるのですが、鯉はそれきり。
ここはひとつ、佐久に住む食いしん坊として鯉料理を作ってやろうじゃないの!と思い立ち、ツルヤで1パック買って帰りました。
あらい(さっと湯に通して冷水で身をしめたもの。刺身風)や旨煮、塩焼きなどもありますが、やっぱり家庭で作る王道は「鯉こく」なイメージなので、今回は鯉こくを作ることにしました。
鯉こくは鯉を味噌で煮たもので、「鯖の味噌煮の鯉版みたいな感じ?」と佐久の人に聞いたら「味噌汁に鯉が入ってる感じ。でもうまいよ。」と言われて混乱した覚えが…。郷土料理の冊子などにもよく載っています。
しかし鯉こくって未だにこのイメージ。(シグルイ13巻より)
しかもこの夫婦殺されちゃう。お腹の子どもも。
鯉こくを作るぞ
ツルヤのレシピとは分量や手順などちょっと変えて作ったので、備忘録的に書いておきます。
<材料>
鯉…2切れ
味噌…大さじ約2杯
砂糖…小さじ1杯
酒…100cc
水…忘れた…。たぶん600ccくらい…。
<作り方>
1 内臓と鱗はそのままで、さっと熱湯に入れて霜降りをする。(洗ったり氷水に浸けたりはしなかった…)
2 酒と水を鍋に入れて、煮立ったら鯉を投入。クッキングペーパーを入れて落し蓋&アク取りしつつ、強火で煮る。アクがあんまり出なくなったら弱火にして1時間くらい煮る。
3 味噌と砂糖を溶かして、なんとなく煮たら完成!
煮込む時間こそかかるものの、材料と手順は超シンプル!
そうして出来たのがこちらです。
残念ながら見た目はあまりよろしくない…。そして何も考えず平皿に盛ってみたのですが、後ほどそれを後悔することに…。
鯉こく、旨い
結論から言いましょう。鯉こくは旨い。旨いです。
変なクセもなく、でも淡泊すぎて味気ないというわけでもなく。本当に「旨い」という漢字を当てずにはいられないほど旨味があります。
内臓もまったりホクホクしていて、軽めのレバーペーストみたいな感じで身とは違った旨さがあるし、煮汁!煮汁が旨い!口の中の細胞1つ1つが「あ゛〜旨いわ〜!染みるわ〜!」と熱めの風呂に入ったおっさんみたいな声を出さんばかりの旨さでした。
何の出汁も取らず、鯉から出た味だけでここまで旨いとは…。鯉おそるべし…。鯖の味噌煮の鯉版ではなく、お味噌汁に鯉が入っている感じと言った佐久っ子の気持ち、今ならよくわかります。
なので、写真のように平皿に盛ると、煮汁が味わえなくて欲求不満になります。私は煮汁だけ汁椀に入れていただきました。ぜひ深めのお皿をオススメいたします。
娘にあげてみたら「おしゃかなちょーだい!」と食べまくっていたし、美味しい魚は好きだけど生臭い魚は食べない夫も、美味しいと言って食べていました。
翌日も食べましたが、若干パサついて固い感じがしました。出来たては本当に身がふわっとしていて、味だけでなく食感も文句なし!出来たてを食べておいてよかったー。
鯉こくはお正月などのお祝い事の定番料理らしいのですが、ちょくちょく作って食べたいなーと思いました。いやー、どんなもんかと思ってたけど作ってよかった!
※参考※
信州佐久・佐久鯉ガイド
http://www.sakucci.or.jp/koipj/index.htm